研究概要 |
リーマン多様体の研究における1つの大きなテーマとして、“局所的性質から、その大域的構造がどの程度決定されるか?"という問題がある。ここでいう局所的性質とは、他様体の曲り方を表わす曲率を指し、大域的構造とは位相構造あるいは微分構造による分類の問題を指す。この研究では主として、次の2つのテーマに関して研究を行った。 1.微分可能球面定理の研究 位相的球面定理を精密化して、微分構造を決定する微分可能球面定理の研究を行い、重要な成果を上げた。 定理:完備、単連結なリーマン多様体(M,g)の断面曲率Kが、0.654<K<1となるとき、Mは標準的球面と微分同相である。 2.共形構造を持つ多様体の研究 リーマン多様体(M,g)が共形構造を持つとは、ワイルの共形曲率テンソルが消えるときをいう。この研究では、その様な多様体を余次元1でユークリッド空間に共形的に埋め込む問題を考えた。もしその様な埋め込みが存在するならば、(M,g)はショトキ-多様体に限られる。逆に、“全てのショトキ-多様体は共形的埋め込みを持つか"という問題である。これについては一部成果を上げているが継続して研究中である。
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