非線形現象の解析

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06640231
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 浅野 潔 京都大学, 大学院・人間環境学研究所, 教授 (90026774)
• 研究分担者: 上田 哲生 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10127053) ; 宇敷 重廣 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10093197) ; 宮本 宗実 京都大学, 総合人間学部, 教授 (00026775) ; 西和田 公正 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60093291) ; 河野 敬雄 京都大学, 総合人間学部, 教授 (90028134)
• キーワード: Boltzmann equation / Euler equation / Navier-Stokes equation / マルコフ-チェイン / 極限定理 / 複素力学系 / 不安定多様体 / ファトゥ集合

研究概要

本研究は、自然および社会の諸領域で観察される非線形現象の研究、特に数理モデルの構成と解析を目的としている。平成6年度の本研究計画の下で、次のような成果が得られた。浅野は、特別な3次元領域において、圧縮性および非圧縮性のオイラー流の例を構成した。また、気体分子運動論に現れるボルツマン方程式と、非圧縮ナヴィエ・ストークス方程式との関連を調べた。河野は、ノンホモジニアス マルコフ チェインの極限定理を、社会現象の解析に応用した。宇敷は、多次元複素力学系、とくにエノンの写像族を、2次元複素ユークリッド空間に拡張したものについて研究をすすめ、体積保存系における放物型不動点において、中立型の不安定多様体が存在することを発見した。西和田は、2つの複素数に対するガウス算術幾何平均の分布を支配している数論的原理が、いくつかのパラメタを含む常微分方程式の解の接続問題としても捉えられることを示し、算術幾何平均のアルゴリズムのパターンと、ある種のモデュラー群との対応関係の確立に向かって、研究をすすめている。上田は、複素射影空間からそれ自身への正則写像の複素力学系を研究し、分岐点の軌道とファトゥ集合の関係について考察した。またこの研究途上で得られた成果の一つとして、正則写像の不動点に関する指数公式を導いた。

研究成果

• [文献書誌] Kiyoshi,Asano: "Examples of Slationary Euler flows" Acto Applicandal Mathematical. 37. 13-20 (1994)
• [文献書誌] Kiyoshi,Asano: "Flnid Dynamical Linit of the Baltymanm equation" Transport Theory and Theoretical Physics. (to appear).
• [文献書誌] Kimimasa,Nishiwada: "Holomorphie structure of the arithmetic-geometric mean of Gauss.II" Proc.Japan Acad.70. 119-122 (1994)
• [文献書誌] Munemi,Miyamoto: "Stationary measures for automaton rules 90 and 150" J.Math.Kyoto Univ.34. 531-538 (1994)
• [文献書誌] Shigehiro,Ushiki: "Parabolic stable manifold for neutral fixed points of uolume preserving complex Hevon maps" (to appear). (1995)
• [文献書誌] Tetuo,Ueda: "Fatou sets in complex dynamics on projectiue spaces" J.Math.Soc.Japan. 46. (1994)
• [文献書誌] Tetuo,Ueda: "Critical orbits of holomorphic maps on projectue spaces" J.Geometric Analysis. (to appear). (1995)
• [文献書誌] Tetuo,Ueda: "Complex dynamics on projective spaces-Index formula for fixed points" Dynamical Systems and Chaos. 1(to appear). (1995)