研究概要 |
非線形偏微分方程式の粘性解の理解をさらに一般の非局所的な項を含む方程式に統一的に適用できるように拡張することを目的として研究をすすめている. 単独の非局所項を含む楕円型偏微分方程式については,区分的に決定論的な確率過程で記述される系の制御問題や衝撃制御問題に付随して現れるいくつかの具体的な方程式を含む一般的な構造条件が得られ,粘性解の存在と一意性が証明された.さらに,これら異なる背景を持つ複数個の非局所項を含む楕円型偏微分方程式についても粘性解の存在と一意性を与える一つの構造条件を得ることができた.また,遅れを持つ微分方程式を念頭においた,Volterra型の非局所項を含む放物型偏微分方程式についても粘性解の一意性と存在を与える結果が得られた. 楕円型偏微分方程式を始めとする分担者の研究も進んでおり,優楕円型方程式の零点を持つ球対称解の存在定理や,退化型準線形楕円型方程式の球対称正値全域解の存在定理などが得られた.さらに,走化性粘菌をモデルとする偏微分方程式系の解の爆発についても新しい知見が得られた.
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