研究概要 |
今年度の研究業績は,論文リストにあるように,待ち行列理論のその応用に関連した議論が主になっている.その研究経過として,RGSMPを補助変数によりマルコフ過程として表し,その特性を状態変化の時点からなる点過程に注目して調べた.また,定常分布の存在を点過程を用いて調べ,それを特徴付ける方程式を導いた.さらに,点過程のパルム測度の理論を応用して,待ち行列における関係式を求めた.この関係式は,従来定常過程に対して求められてきたが,非定常過程の過渡解に応用できるように拡張した.また,マルコフ連鎖の状態を群に分けて行なう分割計算法を,群の大きさが増大していく場合に適用する方法を見い出し,その方法を用いてバースト型の待ち行列の数値計算を行なった.また,RGSMPの定常分布の構造をあらかじめ仮定することにより,RGSMPの状態推移の構造が定常分布にどのように反映しているかを調べることができた.さらに,バースト型の入力を持つ待ち行列をクラスター型点過程を用いてモデル化し,その解析を行い,点過程理論の手法を適用した.Replicator方程式で境界への解の漸近の仕方がカオティックになるものを作り,それを区分的に線形な系に還元して,数値実験により位相的エントロピーのパラメーター依存性を調べた.一方,量子系のマルコフ過程についても,相互エントロピー等を用いて,その収束状況から,その非可逆性を論じた.さらに,相互エントロピータイプの複雑量を用いて,情報量の伝達について,一般的に論じた.
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