研究概要 |
m個の因子に関する一部実施要因実験において、ある母数は完全に未知で、そして別のある母数の中には高々k個の未知な母数が含まれかつそれらの母数はどれであるか不明であるというモデルを考える。問題は、観測値ベクトルyを用いて、その不明な高々k個の母数を検索し、かつ完全なv_2個の未知母数と共に推定するためにはどうすればよいかである。Srivastava(1975)は、その問題を可能にするための計画Tに関する必要条件を与えた。以下その条件を満たすTを検索可能計画と云う。さらに、Srivastavaは,ζ(k×1)を検索されるべき母数とし、検索可能計画Tの観測値ベクトルyと、yの推定値y(ζ)との残差平方和s^2(ζ)=||y-y(ζ)||^2を求め、可能なζに対してs^2を最小にするζ_1が目的の真の未知母数である、という手順を提案した。ここではその手順に従って、k=1の場合で検索可能計画Tが真の未知母数ベクトルζ_0を検索する確率を特徴づけた。応用的に重要である各因子が2レベルで施される一部実施要因実験を考える。一般平均と主効果を完全未知母数とし、2因子交互作用と3因子交互作用を検索の対象とする母数であるモデルを考える。yの誤差ベクトルが正規分布N(0,σ^2I)に従う確率変数であるとする。そのとき確率P(s^2(ζ_0)<s^2(ζ))を正規分布の分布関数を用いて明確に求めた。ζ_0は事前には分からないので,可能なζに対してその確率の最小値、さらに可能なζ_0に対して、その最小値の最小値を、Tが真の未知母数の検索確率と定義する。それはδ=ζ_0/σ^2の大きさに依存することが示されP(T,δ)とする。上記のモデルの下で、すでにShirakura等によって各mの検索可能計画が構成されている。それらの計画Tを用いて、4【less than or equal】m【less than or equal】8の範囲でδ=1.0,1.5,2.0,2.5の各δに対してP(T,δ)の計算値を与えた。いずれも検索確率は0.8以上で,δ>2.0ではほとんど1に近いことが示され、対象にしている検索可能計画Tが高い精度で真の未知母数を検索できることが示された。
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