研究概要 |
本研究の目的は,宇宙X線の偏向度を測定するための特殊ガス比例計数管の基礎開発である。偏向X線は検出器ガスに光電効果により吸収されるとき,ガス原子より射出される一次電子の方向は偏向X線の電場ベクトルに依存する。この一次電子による電子雲の方向とサイズを検出することによりX線の偏向度を測定できる。 今年度は,研究実施計画に基づきSUS304コンフラットにより検出器を装着する高真空・ガス封入チェンバーを製作し1)キャピラリープレートの比例係数管動作,および2)マイクロストリップのパルス立ち上り特性を調べた。 1.キャピラリープレートはマイクロチャンネルプレートの一種で極細のガラス管の束であり両端に電極を蒸着してある。10μm,20μm,100μm径の各キャピラリーについてアルゴンガス1気圧での比例計数管動作を調べた。その結果100μmのキャピラリーで比例計数管動作が見つけられた。このような比例計数管は今までに無い新しいものであり今後基礎特性を調べて行く。 2.マイクロストリップ比例計数管で一次電子による電子雲の広がりをパルスの立ち上り時間により調べた。0.4気圧のキセノンガス中で^<55>Feの5.9keVは,1μsecを中心に0.5μsec(FWHM)のガウス型であったが,^<241>Amは,1μsecから4μsecまで台形状にひろがった。これは,一次電子の射出方向分布を示唆しており今後偏向X線で調べて行く。
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