研究概要 |
ここ数年,HSTを含む観測の目覚しい進展により,銀河内の活発な星形成過程とクェーサー/AGN現象に何らかの強い関連があるという証拠が急増してきた。昨今のHST観測では,近傍のかなりのクェーサーが明るい母銀河の中心にあることが示された。また,セイファート銀河の中心領域には,爆発的星形成領域が多く見つかってきている。さらに最近,遠方のクェーサーに見つかった大量の分子ガスとダストは,母銀河である原始銀河がかなり短い時間で爆発的星形成を行い,これが何らかの形でクェーサー活動性と結び付いていることを示唆している。 我々は,クェーサー/AGNと爆発的星形成の強い繋がりを説明する物理的メカニズムとして、星形成領域からの強力な輻射場による輻射摩擦によって,中心核を取り囲む回転ガス円盤から角運動量が効率よく抜き取られ,さながらなだれ的に中心に落ち込むという「輻射性なだれ」モデルを提唱した。この「輻射性なだれ」は,数pc-100pcの領域では,通常のα粘性による降着よりも速い。また,銀河中心のバ-不安定による質量降着は,数10pc程度までが限界であることがわかってきており,「輻射性なだれ」は,バ-不安定が効く数10pcまでと,α粘性が効く1pc以下の間を繋ぐ第3の質量降着メカニズムと見ることができる。
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