本年度はCOBEの銀河面のデータの解析を行った。この結果、60ミクロンにも通常の星間塵だけからでは説明できない超過が銀河背景輻射に存在することが観測的に明らかになった。さらに、この超過と200ミクロンまでのデータから求めた星間塵の温度との関係を調べ、これまでのモデルでは単純に説明できない機構が関与していることが示唆された。今後この説明の検討を進める予定である。また、本年度にCOBEの全天のデータが公表され入手した。現在このデータについても同様の解析を進めている。 本年度は、この赤外の超過現象を解明する手段として、偏光を用いる方法を検討し、提案した。これは、非等方性のある輻射場の中に非球状ダストが存在すると、特に観測で超過がみられている短い波長帯で偏光が増加することを示したもので、この性質を利用して、超過成分の性質を調べるものである。この偏光観測はISOの公募観測でも認められ、現在詳しいモデル計算を進めている。 さらに、本年度はIRTS観測の準備を行い、IRAS及びCOBEのこれまでのデータ解析の結果を有効に利用し、観測計画、データ解析等のソフトの開発をほぼ完了した。
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