ガンマ線バーストの軟X線検出器として1keV以下で観測を行う際に、漏れ電流などに起因するノイズが問題となる。このため、半導体検出器としてシリコン以外の新しい素材を使うという視点から開発を考え、ガンマ線バーストの軟X線検出器としてダイヤモンド検出器の基礎開発を行った。ダイヤモンド検出器の最大のメリットとしてエネルギーバンドギャップが5.5eVと広いことにあり、漏れ電流が少なく低雑音レベルや低エネルギー側での高い検出効率が期待できる。 人工ダイヤモンドは高温高圧法、CVD法など様々な製法で作られているが、そのいくつかを購入して天然ダイヤモンドとともに半導体検出器を製作し、^<241>Amからのα線を照射しエネルギースペクトルの測定を行った。その結果、高温高圧法によって作られた人工ダイヤモンド検出器から得たエネルギースペクトルから^<241>Amからのα線の内放出比の高い3本のエネルギーをダイヤモンドセンサーとしては世界で初めて分離して測定することに成功した。そのエネルギー分解能は今までの天然ダイヤモンド素材から得られた82keV(FWHM)をはるかに上回る25.4keV(FWHM)という値を示し、常温で最高のエネルギー分解能が得られるシリコン検出器に匹敵したエネルギー分解能を得ることができた。また、従来の天然ダイヤモンドで問題となっていた偏極効果も認められていない。このタイプのダイヤモンドは半導体的性質としてp型を示すものと思われ、ショットキーバリアーを形成するためにアルミを電極として真空蒸着し、裏面には抵抗接触となる金電極を蒸着している。
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