本研究の目的は、デジタル信号処理用の専用の小型コンピュータ・システムを構築することによってリアルタイムの高精度の計算集約型計測を実現し、X線カロリメータの信号処理に応用することである。当初の計画では、リアルタイムOSを搭載するワークステーションを設備費にて購入し、フロント・エンド・コンピュータに接続し、X線計測に対応するソフトウェアをその上で開発する予定であったが、交付補助金の制約のために、既存の特殊ワークステーションを増強して専用のインターフェース回路を接続して目的を達成することとし、本年度は以下の作業を行った。 ・実際に計測の対象となるX線カロリメータの部分は現有のヘリウム3を使用する冷凍機を利用し、赤外線ボロメータの素子を利用して製作した。 ・そこから発生するX線信号の特徴的な時間尺度がミリ秒であることを利用して、音声用ADCを用いて、X線信号を取り込むためのインターフェースを製作した。 実時間信号処理に適したDSPボードをワークステーションに搭載し、専用のソフトウェアを製作し、実際に稼働することを確認した。 処理時間と結果の忠実性を最適化して行く作業を来年度は行ないたい。
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