研究課題/領域番号 |
06640364
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
河合 誠之 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 先任研究員 (80195031)
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研究分担者 |
三原 建弘 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 研究員補 (20260200)
吉田 篤正 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 研究員 (80240274)
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キーワード | X線天文学 / X線検出器 / 実時間信号処理 / マイクロカロリメータ / X線分光学 |
研究概要 |
X線カロリメータのX線信号の特徴的な時間尺度が音声信号に近いことに着目し、音色合成などを目的として開発された信号処理専用ワークステーション(ISPW: IRCAM Signal Processing Workstation)をX線信号計測に利用し、実際に、カロリメータからの信号を検出してデジタル・フィルター処理を施し、高分解能スペクトルをえるためのシステムを開発した。そのために、ISPW上で動作するX線信号検出・弁別ソフトウェアを製作した。ここで、視覚的信号処理専用言語を高速演算関数ライブラリを組み合わせ、柔軟に信号処理アルゴリズムを構成できることを実証した。 X線カロリメータとしてはヘリウム3冷凍機で動作する赤外線用ボロメータを用いた。ここにX線を入射させた時に発生するX線信号パルスの特徴的な時間尺度がミリ秒であることを利用して、音声用ADCを用いてX線信号を実時間信号処理専用ワークステーション(IRCAM Signal Processing Workstation)に、デジタル波形として取り込むシステムを作った。実際に、Cd109X線源などを照射して得られたX線波形に対して、実時間信号処理言語Maxを用いて処理アルゴリズムを記述し、デジタルフィルター処理など、X線分光を目的とした信号処理系の開発を行なった。 当初は、すべての専用のソフトウェアを一から書きあげる必要があると思っていたが、音色合成用の視覚的信号処理専用言語が、イベント駆動型の信号処理に適していることを発見した。これを用いれば、カロリメータの波高抽出のような一次元的時系列解析のみならず、HETE衛星のように、時系列・画像情報を組み合わせて、γ線バーストを検出し、画像・スペクトルを得るというシステムを設計するのが容易である。すなわち、天文観測衛星上の実時間信号処理プロトタイピングツールとして、今回作りあげた開発環境が極めて有効であることを、副次的な成果として見いだした。
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