ハドロンの性質を理論的に解明するために、ここ十数年間多大な努力がはらわれてきた。格子ゲージ理論を指導原理におき、これに対して精力的なモンテカルロシミュレーションが行われてきた。この結果、いくつかの物理量に対してはある程度満足のいく結果が報告されてるが、軽いクォークから成るハドロンに対する正確な情報はほとんど得られていないのが現状である。 本研究は、クォークやグルオンの運動を記述する基礎理論である量子色力学を光円錐座標の上で量子化し、これにタムーダンコフ近似を適用することにより、クォークやグルオンの束縛状態であるのハドロンを相対論的に取扱い、束縛状態のエネルギー、波動関数、寿命及び崩壊幅といったハドロンの性質を、電子計算機を用いて定量的に評価することを目的している。 この近似法においても、4次元時空では場の自由度が多すぎるために、模型を構成し、物理量を定量にもとめることは難しい。そこで、モデルを簡単にするために、仮想的な時間1次元+空間1次元の2次元時空で量子色力学の模型を考え、この模型を光円錐座標上で量子化し、さらに、タムーダンコフ近似を適用し、クォーク反クォーク2体まで含む振幅のみを考察し、束縛状態のエネルギーがどの様な値をとるかを調べた。平成6年度の科学研究費補助金により購入したパーソナルコンピュータを用いて反定量的な計算を行った。この結果は、素粒子論研究に報告の予定である。 さらに、4次元時空で束縛状態に関する物理量を、定量的に評価を行うため、現在も研究を継続中である。
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