研究概要 |
1.摩擦が存在する場合の核分裂幅の温度依存性を調べた。特に、双相関エネルギーの温度依存性を通して、トンネル効果による量子崩壊から古典的な熱崩壊への遷移に非一様な温度依存性が生じることを示した。 2.極低エネルギーでの核融合反応実験におけるスクリーニング効果を調べ、非断熱効果を考慮した上で、スクリーニングエネルギーを評価した。 3.RMF法(相対論的平均場近似)及び非相対論的なスカ-ムHartree-Fock計算を用いてCsアイソトープの陽子および中性子密度を調べ、中性子分布の表面のぼやけが、中性子ドリップラインに近づくにつれて大きくなることを明らかにした。 4.RMF法(相対論的平均場近似)を用いて基底状態におけるHg, Pt, Pb同位体の形及び超変形状態の位置の変化について研究した。特に、双相関エネルギーの強さ、及び核子と中間子の結合定数の取り方に対する依存性について詳しい分析を行った。 5.^<11>Liを入射核とする重イオン弾性散乱の量子力学および半古典論による詳しい分析を通して、中性子暈原子核の構造上の特徴が、焦点散乱の一つである前方核力グローリ-散乱に端的に現れること、具体的には、その振幅を増大させ、振動の周期を速くする形で現れることを示した。また、前方核力グローリ-散乱が起こる散乱系およびエネルギーを明らかにした。更に、角分布の特徴と散乱機構の関連を詳しく分析し、前方核力グローリ-散乱が実際には起こっていない場合にも虹散乱の影散乱として、グローリ-散乱が起こっている場合と極めて類似した角分布が現れる事、これまで前方核力グローリ-散乱と考えられていた多くの系がこの場合に相当することを明らかにした。
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