研究概要 |
1.電子陽電子消滅反応で、スカラークォークなどのカラーを持ったスカラー粒子が対生成される場合には,グル-オンを余分に生成する反応が存在し,また仮想的なグル-オンの交換によっても断面積が補正を受ける。この補正を計算し,クォークのようなスピン1/2粒子の対生成の場合と比較した。全断面積に対する補正,およびグル-オンが独立なジェットとして観測できる確率の両方ともスピンによってかなりの差がみられることが見出された。 2.反応e^+e^-→W^+W^-によって対生成されるWボソンの終状態相互作用から,電弱対称性の破れにかかわる強い相互作用の効果がどの程度観測できるかを,カイラルラグランジアンとベクトル共鳴を持つ模型の2つの方法を用いて検討した。ベクトル共鳴状態に対しては,500GeVの重心系エネルギーでも2000から2500GeVの質量まで検出可能であることが結論された。 3.トップクォークの質量が,未知の強い相互作用によってダイナミカルに生成されている場合,この相互作用の効果はリニアコライダーにおける光子・光子衝突でのトップ対生成の断面積に大きく現れることを示した。 4.スカラー量子電気力学において,従来1ループ以下の振幅に対してしか知られていなかったベルン・コソワの規則を,多ループの場合に拡張した。 5.スカラー場の理論の厳密解を与える,グリーン関数に対する新しい方程式系を発見した。従来知られている方程式と違って,閉じた系を作ることが特徴である。
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