研究概要 |
本研究は偏極^3He標的を用いた光核反応により核内核子相関を詳しく調べることを目的としている.その第1段階として,本年度においては偏極^3He標的の整備を進めた.我々の偏極^3He標的は,円偏光レーザーによって偏極させたルビジウム原子と^3Heの間のスピン交換反応を利用して^3Heを偏極させる方法を採用している.この方法は,高圧の標的を作れるという特徴を持ち,すでにいくつかの研究機関で実用化されている方法である.以下に本年度の仕事の具体的内容を述べる。 1.偏極標的製作の第1段階として,高真空に排気したガラス製のヒーター管内においてルビジウムを気化させ,それに円偏光レーザーを照射してルビジウム原子を偏極させた.その際,偏極されたルビジウム原子が容器の管壁と衝突して減偏極されるのを防ぐために容器内部をシラン系のコーティング材で処理している。 2.ルビジウム原子の密度や偏極度をファラ-デ-回転法で測定するために,半導体レーザーやレーザーの偏極面測定のための測定系を整備し,様々な条件下での評価を行なった.測定の精度を上げるため,偏光素子の回転やデータ収集は計算機でコントロールするようにし,測定の妨げになる振動を除去するために測定台を新たに製作した. ^3Heガスを購入し,それをガラス容器に充填するための特殊容器を製作した.
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