研究課題/領域番号 |
06640386
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
松田 正久 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30111868)
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研究分担者 |
牛田 憲行 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70024049)
林 武美 皇学館大学, 文学部, 教授 (50033832)
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キーワード | B-メソンの稀崩壊 / CP対称性の破れ / K-メソンの崩壊 / B→Kπ崩壊 / 崩壊の非対称性 / 共鳴状態 / ヒグス粒子 / QCD補正 |
研究概要 |
今年度は、特にハドロンレベルでの崩壊行列要素の分析をHeavy Quark Effective Theory(HQET)を用いて,B→D_i+1+ニュートリノ(D_iはD-メソンの基底及び共鳴状態)の過程に対して行い、共鳴状態への分岐比が大きくはならないことを示し、実験値と理論値の間に矛盾があり、精密実験の重要性を指摘した。ペンギン図のみが寄与するB→K_i+φ(K_iはK-メソンの基底及び共鳴状態)過程の詳細な分析をQCD補正の寄与を含めて行った。B→K+π、π+π稀崩壊へのペンギン効果の寄与とカレントxカレント型相互作用の干渉効果が、標準模型と新しい物理を含む模型を区別する上で重要であることを指摘した。また、これらの過程の相対比が\CP\の破れの位相の決定に対して重要な情報を与えることを指摘した。 本課題一年目での成果は上に述べたとおりである。これらの分析は、いずれも現在続行中であり、特に3番目の課題に対しては、D-メソンの類似課程の分析を通じて、統一的理解が得られるよう、分析を進めており、ここではSU(3)のフレーバー対称性の破れが重要であることがわかってきた。これは、近々論文にまとめる。また、一番目の成果に基づき、ハドロンレベルでの形状因子の共鳴状態を含む場合へも拡張可能な模型について計算・分析中である。これが完成すれは、様々な崩壊過程へのより詳細で定量的な分析が行えるようになる。これらの点から、一年目の本課題の目的は達成されたと考えている。前年度までの研究経過の項で述べた解析結果は、三つの論文にまとめられ、専門誌に掲載された。 また、これらのテーマと密接に関連しているCP対称性の破れについても、標準模型を超えるMulti-higgs模型での分析を行ってきており、これらの成果は専門誌に掲載された。今後ははとりわけ中性子や電子の電気双極子モーメントなどのCP対称性の破れとBやKメソンのCPの破れとの関係についても研究を進めたいと考えている。
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