研究概要 |
平成6年度、7年度の二年間にわたる本研究の研究成果は次のとうりである。 1.フェルミオンの運動項に高階微分項を用いて切断のintrinsicに導入する、南部-Jona-Lasinio(NJL)模型のゲージ不変な新しい定式化を与えた。その際、この高階微分項を含む系の量子化法、カレント演算子、アノマリー、の問題を議論するとともに、切断パラメーターが非常に大きい場合に有効な早い計算法を与えた。 2,スカラー場とフェルミオン場の湯川系がゲージ場と結合しているいわゆるgauge-Higgs-Yukawa系に対し、どのような場合にnon-trivalになるのかをくりこみ群を用いて解析した。その結果、理論のnon-trivalityのためには、i)ゲージ相互作用の漸次自由性はあまらい急激であってはならないこと、ii)許される湯川結合定数の大きさには上限があること、iii)スカラー場の4次の結合定数はもはや独立なパラメータではなく、湯川結合定数(およびゲージ結合定数)で決まってしまうこと、が明らかになった。また、その結果を用いて、ゲージ場の結合したNJL模型のくりこみ可能性を証明した。 3,Background Field Method(BF法)に依る有効作用は、全く古典論と同じ形のゲージ不変性を満たしているという利点があるあ。ところが、BF法の有効作用からどのように物理的S行列が計算できるのか、これまであまり明らかではなかった。我々は、この手続きを明確にし、かつまた、そうして得られるS行列が通常の方法によるS行列と物理的モードに関する限り一致することを証明した。 4.QCDの様なNon-Abelianゲージ理論で、カラー閉じ込めのための一つの充分条件である1+u=0の左辺の量1+uが、一方普遍的な(i. e.,物質-independent)くりこみ因子の比Z_1/Z_3=Z_<vertex>/Z_<wave-function>に実は等しいことを証明した。また、この関係式を用いて1+u=0の条件の意味する所を考え直し、「それはmassless gauge bosonのsingularityがゲージ場2点関数から消えて無くなる、という形で実現されていなければならない」ということを議論した。
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