当該研究計画では、物理学と数学の交流を通じて発展した可積分系につき、とくに超対称可積分理論の構造とその超空間での摂動論に焦点を当て研究を開始した。初年度は可解模型に関して、超対称サイン・ゴルドン理論を超空間で定式化された摂動論の理論的枠組に基づいて解析した。これまでに得られたN=2の場合の知見に基づき、東大の研究者等との議論をもとにN=4の場合への拡張を、筆者らが定式化したN=4カイラル超空間の手法を用いて進め、その保存則を古典論および量子論レベルで摂動論を用いて調べた。又一方、超対称な量子群について、これを実現することが可能な超対称量平面の非可換微分算法を調べた。量子空間と時空の対称性の量子変形について、その他の文献[1]で解説を行った。一方、第二年度および最終年度は強い相互作用に対するゲージ理論である量子色力学(QCD)に関連して、摂動論的QCDとくりこみ群の方法に基づき、核子のスピン構造関数に登場するTwist-3およびTwist-4高次ツイスト演算子のくりこみの解析を、広島大学のグループと共同で行った。また最終年度は、前年度からの成果をもとに、場の理論の正準変換の関連で、米アルゴンヌ国立研究所のザコス博士との共同研究で超対称シグマ模型の双対性を調べた。さらに、N=2超対称シグマ模型への拡張を検討しその双対変換を調べた。研究遂行において、国内各地とりわけ、東大・広大・横浜国大・徳島大の関連する分野の研究者との討論・研究交流が有益・不可欠であった。これらの成果は物理学会、内外の研究所におけるシンポジウム・セミナーで発表し、また別紙に揚げた学術雑誌に公表した。
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