研究課題/領域番号 |
06640396
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東島 清 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10092313)
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研究分担者 |
田中 実 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70273729)
中津 了勇 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10281502)
窪田 高弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80161678)
太田 信義 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90167304)
高杉 英一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00135633)
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キーワード | 対称性の破れ / 自発的破れ / カイラル対称性 |
研究概要 |
場の理論における対称性の変化は、何らかの不安定性に起因している。粒子1体問題における不安定性は、古典的な不安定性を引き起こす。古典的には安定に見えても、量子論的に不安定になり、理論の持つ対称性が変化することがある。この場合には、2体粒子系の束縛状態のスペクトルを調べないと、不安定性は見えてこない。 漸近自由な非可換ゲージ理論を用いて分析した結果,カイラル対称性が破れる力学的機構がわかった。質量のないフェルミ粒子2体間のゲージ相互作用が束縛状態を作る位に十分強ければ、タキオンができるためにフェルミ粒子2体系に不安定性が現れ,その不安定性を救うためにカイラル対称性が破れる。タキオンができるための条件は (1)ゲージ場が長距離力を持つ場合には赤外領域における相互作用の強さが臨海値よりも大きいことが必要である。クーロン相では赤外領域での結合定数が1を越えればカイラル対称性が破れる。閉じ込め相では常にカイラル対称性は破れる。閉じ込め相では結合定数が赤外領域で発散するが、物理量はこの極限でも有限にとどまることがわかった。 (2)ゲージ場がヒッグス相にあり力の到達距離が有限の場合でも、その到達距離の中での引力が十分に強ければカイラル対称性は破れる。このためには、WKB近似で計算した束縛状態の個数が0.36を越えていればよい。この条件はゲージ場の質量と結合定数の間に一定の制限を与える。
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