今年度の研究は、 1.これまでの2ソリトン系の相互作用の記述は妥当であったか 2.スカ-ムソリトン模型がバイオン-光生成反応とコンプトン散乱振幅の低エネルギー定理を正しく記述できるか 3.スカ-ムソリトン模型による核子の電磁的偏極率の計算方法と計算結果はどうなるか に焦点を当てて行った。 スカ-ムソリトン模型は、ソリトンの対生成対消滅をうまく取り入れることが出来ないという意味で、非相対論的である。しかし、元々の理論は、局所相対論的であり、ゲージ不変性を持っている。この特性を生かしながら光-核子反応を記述しなければならない。その結果、我々は、これまで誰も成功しなかったO(m_π/M_N)までのパイオン-光生成反応の低エネルギー定理の再現に成功した。 核子の電磁的偏極率については、ゲージ不変性を最大限に使った仮想的な縦偏光の光によるコンプトン散乱振幅と実の横偏光によるコンプトン散乱振幅から電気的及び磁気的偏極率を独立に計算する方法を提唱した。この方法によれば、デルタアイソバ-の寄与の計算もし易い。 これらの結果は、日本物理学会に於ける2回の講演、基礎物理学研究所に於ける講演で報告し、また、Progress of Theoretical Physics、Physics Letters誌の論文として発表した。(基礎物理学研究所の講演は、Progress誌のSupplementに掲載予定)これらをまとめてPhys.Rev.誌に現在投稿中である。
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