研究概要 |
新しく提案された質量行列模型M_f=m_0GO_fGは,クォーク・レプトンの統一質量行列模型として,現象との驚くべき一致を示した。M_u,M_dに各々1つづつ導入された計2つのパラメターを適当な値に選ぶだけで,すべての観測されているクォーク質量比とKM行列の値を驚くべき見事に与えてくれることを見いだした。(Phys.Rev.D49,1994)。この質量行列型は,質量の起源としてのスタンダードな「ヒグス機構」に基づきU(3)ファミリーノネットヒグス粒子を導入して,シ-ソ型質量行列M_f【similar or equal】m_LM^<-1>_Fm_R(M_L∝m_R∝G,M_F∝O^<-1>_f)として理論的基礎を与えることを試みた(日本物理学会秋の年会およびINS Workshop講演)。この新しいヒグス機構では,フレーバを変える中性電流(FCNC)が現れるので,新しい物理的効果の観測が期待される。これについて現在研究分担者である谷本と共著の論文をまとめつつある。一方,シ-ソ型質量行列を,M_f【similar or equal】m_LM^<-1>_Fm_Rなる近似形を用いずに,直接6×6質量行列を対角化することにより,モデルになんらM_UとM_Dとで極端に大きさの異なるパラメターを導入することなく,実験事実であるm_t≫m_u〜m_dを見事に(しかもKM行列の実験値までも)与えることができることを見いだした。(その予備的な成果は房岡との共著の論文としてMod.Phys.Lett.に掲載される。更に新たな発見を加えた完全なものは現在房岡との共著の論文としてまとめつつある。)なお,質量行列に重要な関連をもつCPの破れの起源に関連して,谷本他とCPの破れと電気双極子についてのいくつかの論文をまとめた(Prog.Theor.Phys.'94;Phys.Lett.'95)。
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