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二層量子ホール状態の中で、特にフィリングファクターが1で面間での電子相関が強い系は、その面間で電子のトンネル効果を通して、位相のコヒーレンスが生まれる。このコヒーレンスは、接した2つの超伝導体間に生まれる位相差のコヒーレンスと同等である。チャーンサイモンゲージ理論から導かれたこの結論を、より普遍的に用いられている電子の生成演算子を用いて導くことが望ましい。そのためのステップとしてまず、チャーンサイモンゲージ理論で擬スピン演算子を構成して、その演算子の言葉で上記のコヒーレンスを説明した。それは、擬スピンに関してその量子ホール系が強磁性的になっている事に対応する。また、そこでのジョセフソン効果は、電圧によってその擬スピン(自発磁化)が回転することに対応することも明らかにした。
最近ベル研究所のグループが見いだした、二層量子ホール状態の層に平行な磁場にたいする特異な振るまいを、ジョセフソン接合に見られるアンダーソンプラズモンの観点から解析した。このプラズモンは、面間での電子のトンネル効果がジョセフソン効果として摩擦なしにスムーズにおこるため、面間のチャージングにともなう電場の発生で電子密度が面間で振動することによる。解析の結果は実験結果を良く説明するが、そのとき位相差のコヒーレンスが有限長の相関距離を持つと言う仮説が必要で、今後そのための解析を進めたい。このプラズモンの存在は、間接的にジョセフソン効果を示唆するものであり、それが実験で示されたことは大変興味深い。
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