研究概要 |
前年度までに超対称性理論に対する反応断面積の自動計算化の基本部分が完成したが、今年度は、これを更に完全なものにするための数々のチェックを行った。超対称性理論に基づく相互作用の種類は、素粒子の標準理論に現れるものに比べて飛躍的に増加し、更にそれらがいくつかのパラメータによって表わされるため、全ての結合定数をシステムに含めることと、それらが与えられたパラメータと正しく関係しているかというチェックはかなり膨大なものとなった。また、寄与する中間状態の数もそれに伴って増加するため、得られた断面積の数値的な精度を入念に検討する必要があった。この新しいシステムについてはスイス国Lausanneで開催されたワークショップ「Workshop on Software Engineering,Arificial Intelligence and Export Systems for High Energy and Nuclear physics(AIHENP96)」で発表した。また、アルゴリズムの基本部分は論文として「Nuclear Inst. and Methods in Physics Research A」に掲載される予定である。 更に、始状態が陽子と電子である場合の散乱断面積の自動生成についてのテストプログラムを作り、一般化に於ける問題点を検討した。始状態が陽子のような複合粒子である場合は、関与する素過程が反応過程ごとに異なるので、その選択を行い、更に複数の素過程の断面積を自動計算し数値的結果を求める必要がある。実際の反応過程はこれらの素過程の重ね合わせであるので、自動計算においてこの様な場合の一般的取り扱いを検討する必要があることが分かった。 現在、自動生成された陽子-電子反応過程の陽子中のパートンに対する強い相互作用の補正も含めて、イベントを生成するまでをどの様に自動化するかを検討している。
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