研究概要 |
本研究計画初年度は、Ξ^-原子吸収過程におけるΛΛ核およびΛ核生成メカニズムの解明を目指して直接反応描像に基づき、代表的な吸収反応である^<12>C+Ξ^-原子からのΛΛ核およびΛ核生成率の分析に焦点を合わせて、実験結果との比較検討を行った。具体的には、Ξ^-粒子が(3d)原子軌道から^<12>Cに吸収されるとし、ΛΛ核としては、^<10>_<ΛΛ>Be(0^+-2^+-4^+)+t、^9_<ΛΛ>Li(1^--3^-)+α、^6_<ΛΛ>He+^7Li(1^--3^-)、^5_<ΛΛ>H+^8Be(0^+-2^+-4^+)、twin-Λ核としては、^9_ΛBe(0^+-2^+-4^+)+^4_ΛH、^8_ΛLi(1^--3^-)+^5_ΛHe、またsingle-Λ核としては、^<12>_ΛB(1^-,2^+-1^+-0^+,0^+_2,1^2_+)+Λ、の各チャンネルの生成率Rを求めた。得られた結果は以下の通りである:(1)R(^9_ΛBe(2^+)+^4_ΛH)【similar or equal】R(^9_ΛBe(0^+)+^4_ΛH),(2)R(^9_ΛBe+^4_ΛH)【greater than or equal】R(^8_ΛLi+^5_ΛHe),(3)R(double-Λ):R(twin-Λ):R(single-Λ)=5:1:15,(4)double-Λ trapping probalility P_<ΛΛ>=1.0%vs.P^<exp>_<ΛΛ>=2.6%。一方、(2p)原子軌道からの吸収の場合は、(1)R(^9_ΛBe(2^+)+^4_ΛH)【greater than or equal】R(^9_ΛBe(0^+)+^4_ΛH),(2)R(^9_ΛBe+^4_ΛH)【similar or equal】R(^8_ΛLi+^5_ΛHe),(3)R(double-Λ):R(twin-Λ):R(single-Λ)=1:1:8,(4)P_<ΛΛ>=1.0%vs.P^<exp>_<ΛΛ>=2.6%である。現在のところ、実験的には(^<12>C,Ξ^-)_<atom>→^9_ΛBe(0^+)+^4_ΛH,^9_ΛBe(2^+)+^4_ΛHがそれぞれ1例づつ発見されており、またdouble-Λ核としては^<13>_<ΛΛ>Bないしは^<10>_<ΛΛ>Beが発見されている。また、どの原子軌道からΞ^-粒子が吸収されたかは実験的には明らかではないが、実験データの統計精度を考慮に入れると、理論計算の結果はどちらの可能性もサポートする。今後は、^<12>_<ΛΛ>B+n、^<12>_<ΛΛ>Be+p、^<11>_<ΛΛ>B+d、^<10>_ΛBe+^3_ΛHなどの重要なチャンネルの生成率を求めることにより、2体チャンネルにおける全てのdouble-Λおよびtwin-Λ核の生成率がわかるので、この吸収反応の様相がより一層明らかになるものと期待できる。
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