研究概要 |
(1)Ξ原子吸収反応における軽いΛ核及びΛΛ核の生成反応の代表例として^<12>C-Ξ^-系に焦点を絞り、この原子系から2体分解過程で生成されるΛΛ核およびΛ核の生成率を直接反応描像に基づいて分析を行なった。平成6年度では^<10>_<ΛΛ>Be+t、^9_<ΛΛ>Li+α、^6_<ΛΛ>He+^7Li、^5_<ΛΛ>H+^8Be、^8_ΛLi+^5_ΛHe、^9_ΛBe+^4_ΛH、^<12>_ΛB+Λの各チャンネルの生成率をその励起チャンネルまで含めて分析を進めたが、平成7年度ではこれを^<12>_<ΛΛ>B+p、^<12>_<ΛΛ>Be+n、^<11>_<ΛΛ>Be+dチャンネルまで拡張して分析を進めた。この結果、次の3点が明らかにされた:(1)始状態のΞ原子状態にかかわらず、^<12>_<ΛΛ>B+n、^<12>_<ΛΛ>Be+p、^<11>_<ΛΛ>Be+dの生成率は^<10>_<ΛΛ>Be+t、^9_<ΛΛ>Li+α、^6_<ΛΛ>He+^7Li、^5_<ΛΛ>H+^8Beの生成率と比べて一般的には5-10倍程度大きくなる。(2)2p及び3d原子軌道状態からの生成過程では^<12>B(2^+)+nの生成率がかなり大きくなり(2-5% 程度)、さらに^<12>_<ΛΛ>B(2^+)状態は^<11>_<ΛΛ>Be(g.s.)+p及び^<11>_<ΛΛ>B(g.s.)+nチャンネルへの崩壊が可能である、この過程はKEKのE176実験で発見されたΛΛ核の生成過程(^<14>N+Ξ^-→^<14>_<ΛΛ>C^*+n、^<14>_<ΛΛ>C^*→^<13>_<ΛΛ>B+p)と同様のものであり、我々のこの結果はΞ原子吸収反応でのΛΛ核の一般的な生成過程を示唆するものであり興味深い。(3)two strangeness sticking probabilityは2p及び3d原子軌道状態では7-11%程度となり、E176の実験結果と良い対応が得られた。 (2)ダブルラムダ核の別の有力な生成反応として(K^-,K^+)反応でΞ核をつくり、この原子核状態からΛΛ核を生成する反応が考えられている(米国BNLで実験予定)。この反応の代表例として、^9Be(K^-,K^+)反応で^9_SHe核をつくりこの状態から^8_<ΛΛ>He+nチャンネルへの生成率を直接反応描像で分析を行なった。この結果、^8_<ΛΛ>He+nチャンネルへの生成率は約0.62%となり、中性子過剰ΛΛ核^8_<ΛΛ>Heがかなり多く生成されることを示した。ここで^8_<ΛΛ>Heの励起状態の生成率が約9割近く占め、この結果は上の1の(2)の結果と同様に、Ξ原子やΞ核からのΛΛ核生成反応では励起ΛΛ核が生成されやすいことを理論的に示している点で興味深い結果である。
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