本年度は主にBファクトリーの物理で、どのように超対称粒子の効果が見えるかについての研究を行なった。 まず、超重力に基づいた超対称標準模型でb→sγの過程からの模型のパラメーターに対する制限を求めた。この模型では荷電ヒッグスが存在するが、b→sγの過程からその質量に制限を与えるためには、その他の超対称粒子の効果との干渉の効果を正しく取り入れなくてはならない。その結果ヒッグシ-ノの質量のパラメータによってこの干渉効果の符号が変わり、一方の符号に対しては荷電ヒッグスの質量に強い下限がつくことを見出した。 次にBB混合やKでのCPの破れのパラメーターEKをこの模型で計算した。その結果荷電ヒッグスや超対称粒子の効果は、これらの量を標準模型に比べ10〜20%増加させることがあることを指摘した。このことは、BファクトリーでBの崩壊によるCPの破れを測り、BB混合やEKと合わせて、新しい物理の効果を探る場合に重要になる。 また超対称性理論に関する物理として昨年度に引き続いて超対称標準模型でのヒッグスセクターと将来のリニアコライダーでの超対称粒子の探索に関する研究を行なった。
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