研究分担者 |
吉井 譲 東京大学, 理学系大学院, 教授 (00158388)
辻本 拓司 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (10270456)
小笠原 隆亮 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (30177109)
観山 正見 国立天文台, 理論天文学研究系, 教授 (00166191)
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研究概要 |
本研究の目的は,有限温度・有限密度における宇宙EW相転移とQCD相転移のEffective Lagrangianを構築することを試み,相転移中での低エネルギー相の核化率の計算をその核化率が与える二相よりなる真空の泡構造の時間発展を大型科学計算機を用いた数値シミュレーションによって明らかにすることであった。 初年度にあたる今年度は、宇宙一次QCD相転移のダイナミックスを記述するために、QCDの有効モデルの構築試みた。カイラリティーの破れ・回復を場の理論として見事に記述できるNambu-JonaLasinioモデルにクォークの閉じ込めの機構を現象論的に付け加えることを試みる。即ち、クォーク閉じ込めのために現れるエネルギー・シフトをlinear potentialからの寄与で代表させ、熱力学関数の単一粒子エネルギーにhadronic tensionとクォーク間の距離に比例する項を付け加える。有限温度への拡張は、松原の方法による。こうして得られる有効ポテンシャルの温度依存性を数値的に解いた結果、カイラリティーの破れ・回復とクォークの閉じ込めの良いorder parameterとしてカイラル凝縮の真空期待値を共通に選ぶことができ、両者の相転移が同一温度で起こり、しかも零温度でのハドロンの性質を再現するように選んだ紫外発散の切断パラメータと結合定数の組み合わせに対して、相転移の次数が一次となるモデルを構築することができた。 今後、このモデルを用いて、エントロピー生成を伴う過冷却状態からの泡生成および成長過程、宇宙再加熱後の高エネルギー相から低エネルギー相へのエントロピーの流れとバリオン数移行過程,および,相転移終了時における非一様構造、等の理論計算に進む予定である。
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