研究分担者 |
吉井 譲 東京大学, 天文教育研究センター, 教授 (00158388)
犬塚 修一郎 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (80270453)
辻本 拓司 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (10270456)
小笠原 隆亮 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (30177109)
観山 正見 国立天文台, 理論天文学研究系, 教授 (00166191)
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研究概要 |
平成6-7年度の研究によって,宇宙一次相転移でエントロピー生成を伴う過冷却状態からの泡生成および成長過程,宇宙再加熱後の高エネルギー相から低エネルギー相へのエントロピーの流れとバリオン数移行過程,および,相転移終了時に現れる非一様構造を研究するための理論的な定式化を行なった。今年度は、有限温度・有限密度における宇宙EW相転移とQCD相転移,とくに最近の格子ゲージ理論数値計算や有効理論による発展の著しいQCD相転移について,カイラル対称性の自発的やぶれを記述できる有効ラグランジアンを作った。これらの定式化に基づいて,相転移中での低エネルギー相の核化率の計算とその核化率が与える二相よりなる真空の泡構造の時間発展を大型科学計算機を用いた数値シミュレーションによって明らかにすることを試みた。こうして得られるバリオン数密度の非一様分布は、これに続くビッグバン元素合成に大きな影響を及ぼす。宇宙QCD相転移の研究から理論的に導かれるバリオン数非一様分布を初期条件として,ビッグバン元素合成計算を実行した。現宇宙での元素存在量からの初期宇宙の相転移の有様を定量的に研究するためには,銀河の化学進化モデルを作り,ビッグ・バン元素合成に始まり銀河形成,星形成および進化過程を経て時間的に変化してきた軽元素量の時間発展を理論的に追わなければならない。これを実行することにより、宇宙相転移の痕跡を元素生成量の天文観測によって検証するための諸々の天文観測を提案した。
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