1.高分解能電子エネルギー損失分光器(HREELS)と走査トンネル顕微鏡(STM)の複合測定装置を開発した。さらにHREELSの電源を改良し、0〜260eVまで電子の入射エネルギーを可変にした。さらに、分解能も1meVと世界でも最高水準の装置に改良した。 2.銀単結晶(111)表面のプラズモンのエネルギーとその分散測定を行った。その結果は、1989年の測定(Phys.Rev.Lett.63(1989)2590)を再現し、銀単結晶(111)表面のプラズモンのエネルギー分散は、二次曲線で表わされることが再確認された。 3.銀単結晶(110)表面上[001]方向と[110]方向の表面プラズモンのエネルギー分散を測定した。入射電子のエネルギー依存性も測定した。その結果、入射エネルギー依存性は観測されなかったが、測定値のばらつきが数十meVの範囲で起こることが確認された。そのために、表面プラズモンのエネルギー分散の決定は、不確定さを伴う。 4.その不確定さの原因を探究すそるために、走査トンネル顕微鏡で表面の原子配列とステップの構造を観察した。その結果、原子配列を確認し、ステップ間の距離は場所によって異なり5nmから60nmのばらつきがあった。この結果は、表面プラズモンの運動量が0.002nm^<-1>より小さい場合に影響があることを示す。0〜0.04nm^<-1>の広い範囲のばらつきは、このステップによるものではないことを示す。 5.ジェリウム模型を用た密度汎関数法の理論計算と比較を行った。d-電子の寄与により表面の誘起電荷は固体表面より内側にできると考えられるが、その位置はエネルギー分散の測定の不確定性から決定できない。
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