研究概要 |
Si(111)面の7×7表面再構成温度T_cより,低温側と高温側の表面原子構造を調べた。 T_cより低温側のSi(111)微斜面のステップ構造を,TSKモデルに基づいたモンテカルロシミュレーションを用いて調べた。T_cより低温側では,7×7表面再構成に基づきステップ構造はバンチンング構造をしめす。ステップバンチンング領域のステップ間隔はSi(111)面の微斜角に依らず温度のみに依存し,温度減少と共に減少する。この振舞いは,7×7表面再構成ユニット間に引力相互作用とステップ間の斥力相互作用の競合で説明された。更に,急冷条件下でのステップバンチンング生成過程を調べた。テラス面の広がり速度は時間tの単純なt^<1/4>則では記述されず,核形成を示唆する2段階成長を示した。 T_cより高温側の1×1Si(111)面では、√<3>×√<3>,2×2短距離秩序構造の形成がLEED,STM等の実験で確認されている。1×1Si(111)面の熱平衡状態での表面原子構造を、3体力まで考慮された経験的原子間ポテンシャルを用いたモンテカルロシミュレーションで調べた。Stillinger-Weber型原子間ポテンシャルでは、Siアドアトムの√<3>×√<3>構造は温度上昇に伴い不安定となり、アドアトムは1300K以上の高温でクラスター化を起こす。現在、Tersoff型ポテンシャルによるSiアドアトムの√<3>×√<3>構造の安定性を調べている。 来年度は、1×1Si(111)面におけるSiアドアトムの短距離秩序形成過程を明らかにすると共に,短距離秩序構造とLEEDスポット強度分布の相関を調べる。
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