研究課題/領域番号 |
06640453
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研究機関 | いわき明星大学 |
研究代表者 |
高重 正明 いわき明星大学, 理工学部, 教授 (70114527)
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研究分担者 |
鈴木 晴彦 いわき明星大学, 理工学部, 助手 (30201578)
清水 文直 いわき明星大学, 理工学部, 助手 (20206212)
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キーワード | 強誘電体 / 相転移 / ペロブスカイト / タングステンブロンズ / ビスマス層状化合物 / ラマン散乱 / セラミック / ソフトモード |
研究概要 |
本研究は、ペロブスカイトと類似のBO_6八面体ネットワークにより結晶が構成されている酸化物を合成し、BO_6ネットワークを単純なABO_3型以外にした場合に、物性に現れる影響や普遍的に残る性質を系統的に調べることを目的とした。具体的には、下記の2系統の物質を作成し、He温度を含む広い温度範囲で誘電的性質やラマン散乱を測定し、相転移の有無や各物質間の転移温度や転移機構の比較を行った。 (1)複合タングステンブロンズ酸化物 Ba_2NaTa_5O_<15>(BNT)、Ba_2KTa_5O_<15>(BKT)、Sr_2NaTa_5O_<15>(SNT)、Sr_2KTa_5O_<15>(SKT)、Ca_2KTa_5O_<15>(CKT)の5物質(焼結体)、Ba_2NaTa_5-_xNb5_xO_<15>(BNNT)混晶系(単結晶) (2)ビスマス層状酸化物 Bi_4Ti_3O_<12>、BaBi_4Ti_4O_<15>、SrBi_4Ti_4O_<15>、PbBi_4Ti_4O_<15>、CaBi_4Ti_4O_<15>の5物質(焼結体)、 (1)の5物質では、従来確定されていなかった窒素温度以下の低温領域で誘電異常を見い出し、さらに焼結体ではあるが、焦電荷測定に分極反転を観測し、その強誘電性を確定した。その結果、各物質に対応するニオブ酸化物に対してキュリー点が大幅に低下していることが示され、ペロブスカイト関連構造におけるキュリー点に関する経験則の成立を、タングステンブロンズ構造の物質でも実証した。 (2)の5物質では、室温から各物質の強誘電キュリー点(700〜1000K程度)に至る温度領域で、ラマン散乱により低波数モードの温度依存性を測定した。その結果、Bi_4Ti_3O_<12>、CaBi_4Ti_4O_<15>およびSrBi_4Ti_4O_<15>の3物質で、キュリー点に向かって、かなりはっきりとした波数の低下を確認し、その相転移は結晶格子の不安定生に伴う変位型の色彩が強いものと判定した。
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