研究概要 |
初年度に提出した研究計画調書では、今年度の研究項目は「自由な半導体クラスター、超微粒子の量子サイズ効果」であった.今年度はこの半導体の研究の他に、昨年まで行ってきた金属クラスター、超微粒子の研究の続きとしてLi,Na,K,Rbの原子、分子、クラスター、超微粒子について選択的レーザー励起分光とレーザーアブレーション分光測定も行った. (1)自由な半導体クラスター、超微粒子の量子サイズ効果、表面効果の研究 AgBr,AgI,Ge,PbSについてノズルガス蒸発法により半導体超微粒子ビームをつくり、光吸収スペクトルの時間分解分光測定を行い、励起子とキャリヤ-の空間的閉じ込めに伴う量子サイズ効果を吸収端エネルギーのシフトとして観測した.また、吸収端の裾のUrbach tailの解析を通して、電子-格子相互作用がサイズの減少とともに強くなる事を見つけた. (2)アルカリ金属クラスター、超微粒子のレーザー励起分光とレーザーアブレーション アルカリ金属のガス中蒸発相の分子、クラスターを選択的にレーザー光励起して、分子と原子の間の励起エネルギー移動、プラズマ共鳴散乱光を観測した.また、アルカリ金属蒸発相中のクラスター、超微粒子とアルカリ金属固体に強力なレーザーパルス光をあて、高励起状態の原子、分子、クラスターよりの発光を観測した. 以上の結果は昨年米国で開催された国際シンポジウム International Symposium on The Science and Technology of Atomically Engineered Materials(Oct. 30-Nov. 4, 1995: Richmond, Virginia, U. S. A.) で三編の論文として公表された.
|