研究概要 |
本年度は3d遷移金属カルコゲナイド化合物Cu_<1+x>Co_<2-x>S_4(x=0.5)における超伝導転移温度の圧力効果を^3He温度においてAC,DC帯磁率、及び電気伝導測定によって研究した。15Kbarまで発生できるクランプ型圧力セルをトップロ-デング型^3Heクライオスタットを使用し0.5Kまで冷却し測定を行った。 超伝導転移温度の圧力効果 Cu_<1.5>Co_<1.5>S_4の超伝導転移(T_c)は常圧で4.05Kで観測された。加圧した場合、この超伝導転移温度は圧力増加と共に低温側にシフトする。その圧力変化率はdT_c/dP=-0.038±0.004(K/kbar)である。常圧で転移の幅は10%〜90%までの変化で0.1K程度である。 反強磁性転移温度の圧力効果 帯磁率の圧力変化から求めた反強磁性転移温度(T_N)は、超伝導転移温度の圧力効果とは反対に、圧力を加えていくと高温側にずれる。その圧力変化率dT_N/dP=+0.075(K/kbar)である。帯磁率はキュリー・ワイス則に従いワイス温度も圧力と共に増加している傾向が観測された。つまりCuイオン間の反強磁性相互作用が増加している事を示している。 電気抵抗の圧力変化 超伝導転移が起きない範囲の低温領域で電気抵抗はρ=ρ_0+AT^2のような温度変化を示す。ρ_0は圧力増加と共に増加するがAは変化せずA=0.091±0.002(μΩcm/K^2)であり、フェルミ面の状態密度が変化しないことを示していると考えられる。
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