世界最高品質のUSbの単結晶が育成され、種々の測定がなされた。まず、ド・ハ-ス・ファン・アルフェン効果が観測されフェルミ面に関してかなりの情報が得られた。観測されたフェルミ面はかなり小さく、有効質量は1〜2の値を示した。これは電気抵抗、比熱等の実験から示唆された半金属的性格を裏付ける結果である。また、電気伝導のド・ハ-ス効果(シュブニコフ・ド・ハ-ス効果)も観測された。その他にも、40T近くの強磁場で出現する新たな磁気的相転移や、高圧下の電気抵抗の測定により見いだされた新たな相の発見などがあった。これに関連して高圧下の中性子散乱実験を行う予定である。また、150K付近で弱い強磁性の出現が観測されたが、その後の実験からこのような高品質試料においても試料依存性が見つかり、これが本質的かどうかは現状では微妙である。 USbの参照系としてThSb単結晶が育成された。残留抵抗値は従来報告されている値の1/3〜1/4程度まで改善されたが、この試料を使用してもまだド・ハ-ス効果を観測するまでには至っていない。 電気炉を改善し抵抗加熱炉としては世界最高水準の最高2800℃まで昇温可能(ヒ-タ、輻射遮蔽板の消耗を度外視すれば3000℃も可能と思われる)となったが、その温度でもUAsは完全に溶融せず、まだ小さな結晶しか得られていない。しかし、組成を若干ずらすことでこの問題は解決する見込がついた。 良質のUTe単結晶が育成され、各種実験が進行中である。
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