本研究では高品質単結晶育成に大きな労力が払われており下記の成果が得られた。 1.高純度Uの使用、ストイキオメトリーの制御、アニール等によりUSbの高品質単結晶試料が育成された。 2.UAsに関しては初めてブリッジマン法で単結晶の育成に成功した。 3.USbの参照系であるThSbは、素材の金属Thの純化を行うことにより高品質の単結晶が得られた。 4.USからUTeまでのすべてのプニクタイトの単結晶資料作成にブリッジマン法を適用して成功した。 測定による新たな知見は下記のとうりである。 1.USbはUAs或いはUPとかなり異なった物性を示すが、種々の実験からその大きな要因はこの物質が半金属であることに依ることが明らかになった。現在、磁気及び音響ド・ハ-ス効果の両方が観測されており、二種類の楕円体型フェルミ面(電子面と思われる)及び球形のフェミル面(ホール面と思われる)が確認された。さらにもう一つホール面が存在すると考えられ、実験は現在進行中である。 2.USbで強磁場下の磁化測定からは約40Tで磁気相転移を起こすことが見いだされた。 3.USbで高圧下の抵抗測定及び中性子散乱の実験がなされ、ここでも新たな磁気構造を持つ相が見いだされた。 4.UAsの電気抵抗測定の結果は報告されているものとかなり異なり、試料依存性があることが判明した。 5.ThSbの残留抵抗比は従来報告されているものに比して1桁近く良くなっていた。なお、ド・ハ-ス効果の実験は現在進行中である。 6.ウランモノカルゲナイドに関してはX線磁気散乱及び磁気コンプトン散乱の実験がなされ、UTeの5f電子は予想以上に広がった軌道を持つことが判明した。なお、US及びUSeについても現在実験が進行中である。
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