研究概要 |
試料:Cu[Cu_XCo_<2-×>]S_4系(x=0.05)の合成は困難を伴ったが、帯磁率、反磁性hysteresis,電気抵抗、NMR、中性子回析、高圧物性、熱電能、および、低温比熱測定用試料を準備し測定を進めた。また、 Cu[Cu_<1.5>Rh_<1.5>]S_4を合成しNMRによる研究を進めた。新物質Cu_<1-x>Co_x[Co_2]S_4系(x=0-1)の合成に成功し、構造解析、帯磁率、および、電気抵抗の測定を進めた。 測定結果:Cu[Cu_XCo_<2-×>]S_4系の反強磁性と超伝導性は、構造敏感であり合成温度に依存するが、再現性があることが確認された。X線データの解析からイオン分布は正スピネルとして説明でき他、また、低温で構造変化は起こらない。帯磁率の測定結果から、Cu^<2+>(3d^9)の有効ボ-ア磁子となる局在電子は60%程度であり残りは遍歴電子として振る舞うこと、漸近キュウ-リ-温度より局在電子は反強磁性的相互作用を持つことが結論された。電気抵抗は冪乗則に従い、フエルミ液体、および、強電子相関系の特徴を示した。^<53>Cuと^<59>CoNMR,および、^<59>CoNQRを観測し、Knightシフトの帯磁率依存からCu(3d^9)がスピン常磁性の原因になっており、スピン格子緩和(T_1T)^<-1>は、低温で反強磁性的スピン相関が増え大きくなるので、HTSCの場合と類似している事がわかった。 新たに研究した新物質系Cu_<1-x>Co_x[Co_2]S_4の研究から、Co^<2+>(3d^7dε)軌道はCu^<2+>(3d^9dε)軌道に比べ高い電気伝導度を持つこと、問題のCu[Cu_XCo_<2-×>]S_4系では、BサイトあるCu^<2+>(3d^9dγ)の軌道は最も低い伝導度を持ち電子相関が強く超伝導発現性を示すことがわかった。 また、購入したX線回析用ゴニオメータに低温計測システムを組み上げ、低温構造データを得ることが出来るようになったので、低温物性評価(構造変化とフォノン散漫散乱)に力を発揮できた。
|