研究概要 |
Cu層に4%のMnを導入した人工格子Cu(Mn)/Co系で、Cu(Mn)層厚を系統的に変え磁気抵抗効果を4.2K,77K,300Kで測定した。その結果、純Cu/CoやCu(Ge)/Coと大きく異なる振る舞いを見出した。室温では、飽和磁場、MR比とも参照系とあまり変わらないが、降温とともに飽和磁場は増加する。特に室温で強磁性結合した資料では約70K以下で強磁性-反強磁性転移が生じMR比が大きく増する。Cu中のMn間相互作用及びCo層間結合が一体となった新しい相転移が起きていると考えられる。また、グラニュラー系については、Co-Cu系でも系統的測定を行い、80K以下ではWiedemann-Franz則が成り立ち散乱は弾性的であること、熱電能と伝導度の間の線形スケーリング則が成り立つことを示した。また、MBE法で作成された、Co膜厚が薄い領域で見出されたCo/Ag人工格子膜の巨大磁気抵抗効果に関し、グラニュラー性の寄与を明らかにするために、この系の電気抵抗と磁化を低磁場領域において、零磁場冷却・磁場中冷却で測定し比較した。その結果、両測定とも、グラニュラー成分による明白な差を確認した。特に、磁気抵抗によるような測定は我々が初めて測定に成功した。更に、異常ホール効果の測定でも、グラニュラー性の寄与を確認した。 バルク系として、RECo2(RE:Dy,Ho,Er)の結晶を育成し、磁気抵抗効果・ホール効果の磁場依存性を測定し、大きな抵抗変化に伴う異常ホール係数の磁場依存性が存在する事を確認した。
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