研究課題/領域番号 |
06640486
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐藤 英行 東京都立大学, 理学部, 教授 (80106608)
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研究分担者 |
青木 勇二 東京都立大学, 理学部, 助手 (20231772)
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キーワード | 巨大磁気抵抗 / ホール効果 / 熱電能 / 熱伝導度 / 金属人工格子 / グラニュラー合金 / 金属間化合物 / 層間結合 |
研究概要 |
a)スピングラス転移と強磁性層間の競合の効果を調べるため、7%のMnをドープした試料で輸送効果測定を行った。その結果、層間結合は飽和磁場の増大等の大きな影響を受け、特に、本来強磁性結合が期待されるCu(Mn)層厚=^〜15Åの試料では、室温での強磁性的に結合から、約70K以下で反強磁性成分の急に成長する現象が、磁化、磁気抵抗、熱電能、ホール効果の測定で明瞭に確認された。大凡の振る舞いは、Co層間の結合とスピングラス転移の微妙な競合的によるとして説明された。 b)層間結合の振動に伴う磁気抵抗効果は、強磁性体中のスピン分極した電子の、界面の散乱におけるスピン依存散乱によるとして理解されてきた。我々は、巨大磁気抵抗効果に関連した散乱の効果が異常ホール効果に現れることを明白に示すため、巨大磁気抵抗効果の振動が最もはっきりと観測されている、Co(Fe)/Cu人工格子の磁気抵抗、ホール効果の同時測定を行い、異常ホール係数の振動を確認した。 c)最も典型的なAg-Co及びCu-Coグラニュラー合金で、磁化、磁気抵抗、ホール効果、熱伝導度、熱電能の磁場依存性を測定した。その結果、磁気抵抗と同期した巨大な磁場依存性を全ての輸送係数に見出した。これらの結果は、グラニュラー合金の示す巨大磁気抵抗効果は人工格子系の示すものと、電子散乱の立場から本質的には同じであることを示している。 d)典型物質のUNiGa系について、我々は同一試料、同一条件でホール効果、熱電能、磁気抵抗、磁化の磁場依存性を測定し、磁気抵抗の原因の究明を試みた。ホール比抵抗にも熱電能にも、磁気抵抗変化に対応した磁場で明白な構造が現れることを確かめた。低温領域で、二つの磁場範囲、つまり反強磁性状態の保たれている低磁場と磁化の飽和している高磁場領域で正常ホール係数を見積もったところ、スピン再配列に際しフェルミ面に明白な変化が起きている徴候を捉えた。熱電能の結果もそれを支持している。
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