研究課題/領域番号 |
06640489
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
宮島 英紀 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70166180)
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研究分担者 |
大谷 義近 東北大学, 工学部, 助教授 (60245610)
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キーワード | 複合構造 / 強磁性微粒子 / 磁気近接効果 / 水素吸蔵 / 保磁力 / 界面磁気異方性 / サイズ効果 / プラトー領域 |
研究概要 |
平均粒径0.7μmのNi微粒子の表面上に化学還元法によりPdを被覆した複合微粒子の磁気近接効果と水素吸蔵特性について調べた。水素雰囲気中で磁化測定を行い、室温では水素中の磁化が減少することが分かった。これはPdは水素を吸蔵する磁化率はほぼ0になるため、水素吸蔵前後での磁化の差を見ればNiの磁化は相殺され、その差はNiの表面磁性の影響を受けたPdの磁化となる。Pdの被覆厚の異なる試料を測定することにより、磁気近接効果によってNiとPdの界面においてPdの磁気分極が誘起されること、Ni界面近傍で磁気分極したPdの磁気モーメントは0.3μ_B程度であることが分かった。強磁性近接効果は、低温で顕著にあらわれ、Ni/Pd複合微粒子の磁化は80K付近で緩やかな極大を持ち、50K以下では強磁性に転移し磁化が急増したが、水素を吸蔵させると磁化増大は抑えられた。また、Ni/Pd微粒子は、PdとNiの界面に界面磁気異方性が生じているため、比較的大きな保磁力(約130Oe)を持つが、水素吸蔵により減少することが分かった。水素吸蔵により界面磁気異方性エネルギーも減少し、保磁力が界面磁気異方性から生じていることが分かった。水素圧力-組成-等温線図を測定し、Ni/Pd微粒子の水素吸蔵特性を調べた。Pdの被覆厚の小さいものほど平衡状態図におけるプラトー領域が狭くなり、水素吸蔵量が減少することが分かった。また、その平衡圧力(プラトー圧)が高くなる。この吸蔵量減少は、水素雰囲気中X線回折からも確認した。これは、微粒子や薄膜にすることによって内部全体の歪みがバルクに比べ大きくなり、それが水素化を妨げていることを示している。 以上のように、Pd層の強磁性転移の確認と強磁性Pdの磁気モーメント、界面磁気異方性の水素吸蔵による変化を解析できたこと、また水素吸蔵特性にサイズ効果があることを示したことは、本研究上意義深いことである。これらの結果は、Annual Confernce Magnetism and Magnetic Materials 95 (Philadelphia)で口頭発表したほか、3件の論文として刊行した。
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