相互作用する二本の量子渦のピンニングを記述するプログラムを現有していたが、それをヴァージョンアップし、任意の本数の量子渦のピンニングを扱えるプログラムを開発し、数値計算を行った。その結果、平面上に置かれた半球状突起(ピンニングサイト)は、渦の捕獲に関してある容量を持つこと、およびこれらの運動に対する印加流れ場の影響について明らかにした。また、印加流れ場により、ピン止めされていた渦が突起から離脱し得るが、その臨界離脱速度の温度依存性を求め、熱カウンター流の実験結果と良い一致を見、本数値計算の妥当性が証明された。 回転超流動における量子渦の二次元、および三次元運動を記述するプログラムを開発した。まず、より簡単な二次元の計算を行い、回転円筒容器境界に置かれた複数の量子渦が、容器の回転角速度に対応する平衡状態(Vortex Array)を形成する動力学を明らかにした。次に、回転角速度の急減に伴うVortex Arrayの組み替え(いわゆる、スピンダウン)の動的過程も明らかにした。これらの運動は、ピンニングサイトの影響を受け得るが、三次元ピンニングに矛盾しない二次元ピンニングの定式化を行い、それを用いて、上記の運動に及ぼすピンニングの効果について調べた。こうした二次元系の知見を基に、現在、三次元系の計算を行っている。 また、量子渦の再結合を調べるべく、三次元の非線形シュレディンガー方程式を解くプログラムを開発したので、現在、それを用いて計算を行っている。
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