研究課題/領域番号 |
06640503
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮下 精二 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (10143372)
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研究分担者 |
川崎 辰夫 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40025367)
冨田 博之 京都大学, 総合人間学部, 教授 (70025477)
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キーワード | 量子ゆらぎ / 準安定性 / トンネル効果 / モンテカルロ法 / 核形成 |
研究概要 |
量子的揺動が大きな系での低温における性質を調べるため一次元量子スピン系の研究に関する量子モンテカルロ法の方法を開発した。特に、相互作用に競合のある場合に問題となる負符号問題に対する実際的な解決法としての転送行列モンテカルロ法を開発し低温でのゆらぎの在り方を研究した。また、系の素励起の運動を明らかにするため系の低エネルギーの分散関係を量子モンテカルロ法で求める方法を開発し、一次元S=1反強磁性ハイゼンベルク模型に適用しこの系の特有な励起パターンの運動形態を調べた。さらに、素励起間の相互作用の影響も明らかにした。さらに、3次元系における競合相互作用の効果を層状三角格子反強磁性体において調べた。また、2次元イジング模型の逆磁場中での準安定状態からの緩和の磁場、サイズ依存性について核形成理論とアブラミ理論に基づき解析し、緩和のタイプが特徴的に変わるスピノ-ダル点が動的な意味で存在するとする従来の我々の主張を確認した。さらに、準安定状態からの緩和現象へのスピンの対称性の影響も調べ、系のトポロジカルな欠陥の在り方が緩和に大きな影響を持つことを明らかにした。熱的なゆらぎが存在しないような低温での緩和メカニズムについて幾つかの提案をし、それらの機構の中でどのような緩和が起こるか実際に数値シミュレーションを行ないそれらの性質を明らかにした。特に、外場をゆっくり変えることで系を断熱的に変える場合、系が準安定性を持つとき緩和はトンネル現象が必要になるにもかかわらず従来知られているランダウ・チェナ-型の緩和率で整理できることを発見した。また、緩和機構にボ-ズ系の自由度が関与した場合のいろいろな現象を見出して解析した。
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