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1994 年度 実績報告書

非粘性流体における異常拡散現像の統計物理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06640508
研究種目

一般研究(C)

研究機関高知大学

研究代表者

岡本 壽夫  高知大学, 理学部, 教授 (50037222)

研究分担者 松枝 秀明  高知大学, 理学部, 教授 (00238966)
キーワード2次元非粘性流体 / 異常拡散現象 / 異常輸送現象 / 乱流輸送 / 非平衡開放系 / カルマン渦 / 渦粘性係数
研究概要

大規模な大気の流れには,空気の分子粘性のほぼ8〜9桁倍の大きさにものぼる極めて大きな粘性が働いている,と考えなくてはその運動を説明できない。このような異常に大きな粘性は大気の乱流で原因になって起こると考えられ,渦粘性と呼ばれている。この問題は提起以来30年余を経過した存在まで理論的には解明されていなかったが,最近,岡本と岩山は,この問題に非平衡統計力学の手法である線形応答理論を適用することにより、2次元非粘性流体の場合の理論的研究を行い成功した。即ち,現行の気象予報では,計算プログラムの暴走を回避し,しかも,必要な有用な結果が得られるための条件として,プログラム中に経験的に組み込まれているパラメタ値(渦粘性係数として分子粘性係数の役10^<10>倍という巨大な値を使用)が実は正当なものであることが初めて理論的に証明された。
上述の研究は,問題を意味のある範囲内で最も簡単化した2次元モデルについてなされており,今後,現実の3次元的な系に適用できる理論として拡張整備することが不可欠である。更に、本理論をプラズマ乱流や宇宙プラズマなどの電磁流体にも適用できるように拡張し,現在,核融合プラズマ閉じ込めに決定的な障害となっているプラズマの異常拡散現象にたいする論理的な基礎を構築することを目指して次の研究を行った。
1.岡本・岩山が開発した「2次元非粘性順圧流体における渦粘性の論理」から得られた渦粘性係数の表式を混合距離理論の形式,すなわち,速度の次元を持つ量(V)と注目する現象のスケールに依存し長さの次元を持った量(l(k),kは波数)の積に表現することにより数値的に異常に大きな渦粘性係数が地球大気では注目する現象のスケールの大きさによることを理論的に導いた。2.岡本・岩山の2次元系の理論を3次元系に拡張する試みとして,2層流体の渦粘性の理論的研究を行った。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 岩山 隆寛 Takahiro IWAYAMA: "Scale Dependence of the Fractal Dimension of Atmospheric Variability." Mem.Fac.Sci.Kochi University,Ser.F(Information Science). 15. 131-142 (1994)

  • [文献書誌] 栢原 孝浩 Takahiro KAYAHARA: "Estimating the Correlation Dimension and the Largest Lyapunov Exponent from the FGGE IIIb Data" Mem.Fac.Sci.Kochi University,Ser.F(Information Science). 15. 143-151 (1994)

  • [文献書誌] 岩山 隆寛 Takahiro IWAYAMA: "2次元非粘性順圧流体における渦粘性の理論" 数理科学講究録(数理科学講究録刊行会,京都大学). 866. 120-131 (1994)

  • [文献書誌] 岩山 隆寛 Takahiro IWAYAMA: "2次元非粘性順圧流体における渦粘性の理論" 『ながれ』(日本流体力学会誌). 13. 181-181 (1994)

  • [文献書誌] 松枝 秀明 Hideaki MATSUEDA: "半導体レーザーによる高調波発生" 応用物理(日本応用物理学会誌). 63. 928-931 (1994)

  • [文献書誌] 松枝 秀明 Hideaki MATSUEDA: "Optoelectronic Mesoscopic Neural Devices" IEICE Trans.Fundamentale. E77-A. 1851-1854 (1994)

  • [文献書誌] 岡本 壽夫(共同執筆者計22名): "乱流現象の科学-その解明と制御-(担当部分)第5章『カオスの臨界現象と統計的性質』(121-163頁)" 東京大学出版会(巽友正編), 660 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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