研究概要 |
1) 2重障壁を電流が流れるときの電流-電圧特性、電流の揺らぎ、量子ドット内の電荷分布について、前年度までのトンネル確率の最低次という近似を超えた理論を継続してきた。非平衡Green関数法は種々不便なところがあることが分かってきたので,新たに,T行列法を採用した。その結果をわれわれが考案したエネルギーリサイクル結合量子ドットの電流電圧特性の計算に応用し,量子ドット間の結合の大きさとドット系と外部電極の結合の強さのクロスオーバーの研究にまで使えることが分かった。 2)大きさのある量子ドットの電流電圧特性をキャパシタンス模型を採用して計算し,ドットと電極を結合した系のバイステイブルな状態があることを確認した。 3)さらに,電子がコヒーレント状態にある微細系のモデルとして,金属を鍍金した誘電体微粒子の非線形感受率の研究を始め,4光波混合という状況で必要な3次の電気感受率の計算をほぼ完成させた。金属層の厚さは1nm程度を想定しているが,計算結果は,金属層の厚さの3乗に逆比例するという興味深い結果を得た。これは,新しいデバイスを予感させる。
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