研究概要 |
特性インピーダンスの異なる短い同軸線路を多数用意し,これらを乱数に従って接続することで,ランダム線路を実現することができる.また,線路の途中に集中定数を付加することによってもランダム線路を実現することができる.本研究では,まずこれらの,回路の応答を数値的に求め,共振周波数における振幅の空間分布を調べた.その結果,殆んどの共鳴モードは空間的に局在していることが判明した.さらに,現実の回路に対応して,損失がある場合,これらの局在モードが存在し続けるかどうかを調べた.また,局在モードの励振方法についても,調べた.現在,上記の計算結果を踏まえて実験の準備を進めている. 一方,1次元波動が示す幾何学的性質について理論的研究を行なった.1次元波動伝搬は数学的にはリー群SU(1,1)あるいはSL(2,R)によって記述される.これに関連した様々の幾何学的性質が現れることを明らかにした.特に,従来,量子力学の世界のみに現れると思われてきた,spinorの2価性が古典的波動にも存在することが判明した.また,空間のスケール変換に伴って,典型的なゲージ構造が存在することも分かった.これらの幾何学的構造を検証する実験について検討を行なっている.
|