研究概要 |
本研究の目的はデジタル地震波形記録を波形インバージョンにより解析し,高解像度の地球内部3次元構造を推定することである.計算法には我々が開発したDirect Solution Method(DSM)を用いる.平成6年度の研究では,インバージョンの際に必要となる高精度理論波形計算の計算アルゴリズム及びソフトウェアを開発し,計算誤差の一般的な評価方法を導出した.以下に具体的に記す. (1)DSMを用いて球座標系におけるSH波及びP-SV波の理論波形を計算した(Cummins et al.,1994a,b).(2)計算効率の向上を図るために,変位場の展開に用いる試験関数として解析解を用いるDSMの定式化を行ない(Geller & Hatori,1995),ソフトウェアの開発を行なった(羽鳥,ゲラ-,1994).この定式化はローカルスケールの構造を細かく求める場合に適している.(3)運動方程式を離散化することにより生じる数値誤差を評価する一般的な方法を導出し(Geller & Takeuchi,準備中),誤差を抑える修正演算子を導出した(竹内,ゲラ-,1994;Cummins et al.,1994a).(4)DSMを用いた逐次波形インバージョンにより求めたモデル,PUM0(Hara et al.,1993)の深さ300-400kmにおける水平方向不均質構造が古い大陸地殻下の高速度域と海嶺下の低速度域により説明できることを示した(Hara & Geller,1994a)(5)Landers地震の際に観測された震源近傍における表面波の振幅異常を説明する理論を導出し,数値実験によりこれを確認した(Hara & Geller,1994b).
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