ジオイドの形、つまり地球の形を求めることは、測地学の基本であり、従来の測地測量成果と、最新の宇宙技術を利用した測量データを結びつけるためにも、必要なものである。最近のGPS測量の技術の進歩により、従来は不可能であった楕円体高の測定と水準測量で求まっている標高を比較することにより、ジオイド高を精密に決定することが可能になってきた。 中部日本南部地域では、丹沢や伊豆を乗せたフィリピン海プレートがユーラシアプレートと衝突することより、富士山などの火山や赤石山脈などの構造山脈が形成されたと考えられている。この地域の地下構造の研究は、重力測量や地震波探査などによりなされてきた。今回は、重力データをさらに充実させるとともに、ジオイド高のデータも加え、南部フォッサマグナを中心とした中部日本南部の地下構造の研究を行う。 富士山は、従来、重力異常(ブ-ゲ-異常)に乱れがないことから、アイソスタシ-の根はないものとされていた。しかし、我々の計算によると、もし富士山にアイソスタシ-の根があるとしても、その重力効果は非常に小さく、ほとんどブ-ゲ-異常に影響を与えない。そこで、富士山地域で重力測定を新たに実施し、アイソスタシ-異常を求めた。その結果、富士山地域に異常は見られず、富士山のアイソスタシ-の根の有無にかかわらず、この地域の重力異常の説明ができることが分かった。 また、諏訪湖近傍で観測を実施し、ジオイド高の精密測定を実施したところ、昨年度までに実施したその南側の地域と同様、従来の重力データから求められているジオイド高(ORIジオイド)より約1.9m高いことが分かった。
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