東北日本弧においては、白亜紀第三紀の溶結凝灰岩を古地磁気研究対象岩石した。北海道渡島半島に分布するマス川層、北部北上地塊の宮古周辺に分布する原地山層と閉伊崎火山岩類(〜60Ma)の溶結凝灰岩を計11箇所で採取した。西南日本弧では飛騨地域に分布する白亜紀-古第三紀(〜60Ma)の溶結凝灰岩を古地磁気研究対象とした。笠ヶ岳流紋岩類、大雨見山層群、濃飛流紋岩類そして、奥美濃酸性岩類中の溶結凝灰岩を15箇所で採取した。全てのの岩石に対して、熱消磁実験を加えた。300度以上の温度で安定な高温成分を見いだすことができた。ほとんどの残留磁化はマグネタイトがになっていることがわかった。 60Maの年代を示す北部北上地塊の閉伊崎火山岩類の古地磁気方位は北部北上の花崗岩の古地磁気方向と一致すること(偏角〜280°、伏角〜20°)をみいだした。伏角は14度と小さく、低緯度で生成されたことを示唆した。60Maの古地磁気データは、日本海拡大に伴う東北日本弧の反時計周り運動に先立つ、テクトニクスを示している。 飛騨地域の白亜紀-古第三紀の溶結凝灰岩は東振り約60度の偏角値で特徴づけることができた。この偏角値は西南日本の白亜紀-古第三紀の古地磁気方位と一致していた。この地域の60Maお岩石は、日本海拡大に伴い15Maに回転した西日本弧の運動を記録していることがわかった。 日本弧に分布する約60Maの岩石のなかでも、東北地方に分布する岩石のなかには、日本海拡大に先立つテクトニクスを記録している可能性があることがわかった。
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