研究概要 |
中国のLake Qionghaiの堆積物から過去約2万年間の地磁気永年変化記録を得、次の地磁気現象を見つけた。1)先の報告(Hyodo et al., 1993)と調和的な地磁気西方移動を示す偏角の東振りのピークが約3800yBPに存在した。2)この偏角の東振りのピークの年代も含めた地磁気西方移動速度の推定は0.14°/yである。3)偏角が大きく西に振れる地磁気エクスカーションが約18000yBPに存在した。4)エクスカーション磁場は時計回りの回転運動を示し、この間も地磁気西方移動が卓越していたことを表している。 中国のLake Erhaiの堆積物から過去約1万年間の地磁気永年変化記録を得、次のことがわかった。1)偏角の東偏ピークは見つからなかったが4000〜1700yBPの間の地磁気ベクトルは時計回り運動が卓越していることがわかった。これはHyodo et al. (1993)の地磁気西方移動モデルに一致する。2) Lake Qiongahiの永年変化記録とは短周期変動がよく一致する。長周期変動の不一致はどちらかのコアが、ねじれを起こしたのかもしれない。 世界13地域の完新世の永年変化データが集まった。全データを比較すると質が大きく異なることがわかった。そこでグローバル解析には数本のコアのデータが同じ記録が出され制度の高い、イギリス、北アメリカ、オーストラリアの3地域のデータを使った。周期解析、バンドパスフィルターを組み合わせた解析法で3地域共通に1100年、2400年周期変動が卓越し、運動は全体に時計回り回転が卓越ていることが分かった。これから推定される、地磁気西方移動速度は0.32、0.15°/yとなる。 二つの異なる方法で見積った西方移動速度、0.14°/y、0.15°/yは非常に近い値であり信頼性の高いものと言える。
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