本研究は地球磁場が異常な時期、特にエクスカ-ジョン期、の古地磁気強度をテリエ法で求めようとするものである。試料には我々がニュージーランドのオ-クランド火山群から報告したエクスカ-ジョンを含むニュージーランド北島の玄武岩質の単成火山岩を対象とする。本年度は初年度に整備した熱消磁/着磁装置を利用して、初年度の行った熱消磁結果を参考に選別した試料の、テリエ法による古地磁気強度測定実験を行った。古地磁気強度を求めた試料は主としてエクスカ-ジョン期の物を選んだが、比較のために正帯磁の物についても実験した。 試料は一般にブロッキング温度が低いものが多く、また、比較的低い温度で化学残留磁化を獲得するものも多かったので、低い温度の成分でのテリエ法実験を余儀なくされた。しかし、磁化はきわめて強く安定であったのでかなりたくさんの試料について(計19個)古地磁気強度を決定することができた。その結果以下のことがわかった。 1)オ-クランドエクスカ-ジョン期の試料の古地磁気強度は10μT以下のものがほとんどで、現在の磁場と比べて1/5程度であった。どの他の試料からも弱い地磁気強度は見られたが一般的ではなかった。 2)オ-クランドエクスカ-ジョン期の火山はその磁化方位から3つに分類できる。このうち北向き下向きのグループには3つの火山があり、それらから計8サイトの試料がある。同じ火山については古地磁気強度は比較的良く一致する。また、3つ火山のうち2つは似た古地磁気強度を持っているが、残りの一つはそれらより明らかに強い古地磁気強度を持っている。地磁気方位がまったく変化せずに強度のみが変化するためにはエクスカ-ジョン期においても地球磁場の起源に通常期の双極子に相当する支配的なものがあったと考えられる。 以上の結果は1995年秋季地球電磁気・地球惑星圏学会講演会、19945年秋季American Geophysical Union講演会、1996年地球惑星科学関連学会合同講演会で発表あるいは発表予定である。
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