本研究は地球磁場が異常な時期、特にエクスカ-ジョン期、の古地磁気強度をテリエ方で求めようとするものである。試料には我々がニュージーランドのオ-クランド火山群から報告したエクスカ-ジョンを含むニュージーランド北島の玄武岩質の単成火山岩を対象とした。古地磁気強度決定の手法にはテリエ法を用いた。古地磁気強度を求めた試料は主としてエクスカ-ジョン期の物を選んだが、比較のために正帯磁の物についても実験した。 試料は一般にブロッキング温度が低いものが多く、また、比較的低い温度で化学残留磁化を獲得するものも多かったので、低い温度の成分でのテリエ法実験を余儀なくされた。しかし、磁化はきわめて強く安定であったのでかなりたくさんの試料について(計20個)古地磁気強度を決定することができた。その結果以下のことがわかった。 1)オ-クランドエクスカ-ジョン期の試料の古地磁気強度は10μ以下のものがほとんどで、現在の磁場と比べて1/5程度であった。その他の試料からも弱い地磁気強度は見られたが一般的ではなかった。 2)オ-クランドエクスカ-ジョン期の火山はその磁化方位から3つに分類できる。このうち北向き下向きのグループには3つの火山があり、それらから計8サイトの試料がある。同じ火山については古地磁気強度は比較的良く一致する。また、3つ火山のうち2つは似た古地磁気強度を持っているが、残りの一つはそれらより明らかに強い古地磁気強度を持っている。地磁気方位がまったく変化せずに強度のみが変化するためにはエクスカ-ジョン期においても地球磁場の起源に通常期の双極子に相当する支配的なものがあったと考えられる。
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